FIP(猫伝染性腹膜炎)とは、猫腸コロナウィルスが変異し発症する、死亡率が高いうえに治療法が確立されていない、恐ろしい病気です。
当院ではそんなFIPに対し、未承認の海外薬である「mutian」を利用した治療を行って参りましたが、症例数が多くなってまいりましたので、専用の外来を設けることといたしました。
FIP治療のご相談をご希望の場合は是非、お問合せください。

⇒FIP外来について
⇒mutianについて
⇒FIPについて
⇒検査・治療の流れ、料金などのQ&A

FIP外来について

・FIP外来は完全予約制となります。緊急の場合を除き、前日までにお電話または公式ラインよりご連絡ください。
・FIP外来でご来院の際は、感染防止の観点より直接診察室にお入りいただきます。到着されましたら、お電話にてご連絡ください。
・その他、気になることがありましたらお問合せください。

mutianについて

mutianは、「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の治療に有効であると報告されている製品です。
FIPは致死率が高く、また原因となるコロナウィルス(今感染拡大中のコロナとは異なるものです)は殆どの猫が保有しているため、非常に怖い病気です。(詳細は下部へ)
mutianは色々な意見のある薬ですが、当院では少しでも多く病気に苦しむ猫ちゃんを救うため、飼い主様の力になるため、FIPの治療に本剤を導入することといたしました。

猫伝染性腹膜炎(FIP)とは

1歳未満の子猫、8歳以上のシニア猫によく発症する病気で、発熱、食欲不振、腹水など様々な症状が発生した後、最終的には死に至ります。
原因となるのは殆どの猫が保有している猫腸コロナウィルスで、ストレスなどの要因によりこのウィルスが猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に変化することにより発症すると考えられています。
また、伝染性と名の付くとおり唾液や糞尿を通じて感染することもありますので、致死率が高いだけではない、非常に危険な病気です。

さらに詳しいご説明を当院コラムにてしております。よろしければご参照ください。
https://nishinomiya.vet/2022/11/11/article3/
https://nishinomiya.vet/2022/11/15/article4/
https://nishinomiya.vet/2022/11/16/article5/
https://nishinomiya.vet/2022/11/17/article6/

Q&A

Q.FIPは治りますか?
A.現在、確立した治療方はございません。mutianを使用することで、症状が大きく改善する例が報告されております。

Q.FIPの診断はどのようにつきますか?
A. 診断は非常に難しいです。症状がある場合に他の病気と鑑別するため、状況に応じ複数の検査を実施したうえで総合的に判断します。
(腹水がたまっている場合は腹水の検査や、たまっていない場合は病変部位の生検など)

Q.治療の流れはどのようになりますか?
A. 現在の基本的な治療としては一般に動物病院で使用されている薬剤を使用し、延命効果を期待するものになります。ただ、やはり現実的には効果が期待できないのが実情です。
当院では、治療を目的としてmutianを導入しております。
本剤は未承認薬となりますため、飼い主様のご同意のもと使用させていただく形になります。本剤は未承認薬ではありますが、一定の治療成績があることが報告されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8705141/
(片山雅人先生、植村幸希奈先生 神奈川県横浜市ブルーム動物病院様)
(クリックで別ページが開きます。)
上記論文内では、141匹の猫にmutianが投与され、116匹(82%)の猫が回復しており、そのうち3例(2%)が再発したことが報告されています。
また、主な副作用として軽度の消化器障害及び肝機能障害が報告されています。

Q.費用はどの程度かかりますか?
A. 症状によって検査等異なりますので一概には言えませんが、ドライタイプの場合まず他の病気と鑑別するために血液検査、蛋白分画検査、FIP抗体価検査を実施いたします。
こちらの検査でおおよそ診察料とは別に2万円程度になりますが、その他リンパ節が腫れている場合や腹水が溜まっている場合などより正確な判断のために別途検査を実施する場合がございます。
また、実際にFIPと診断がつき、mutianの投薬を実施する場合は100mgあたり2,500円頂戴しております。
投与量は体重によって前後しますが、50mg~200mgが殆どです。
加えて、定期的に状態を確認するため、診察、検査を実施いたします。

Q.治療期間はどの程度になりますか?
A. 決まった時間にmutianを経口投与する形で、3ヶ月ワンクールで投薬を実施します。