猫にカビ!治療は?費用は?人にもうつる?【獣医師監修】

なんだかフケが出てる、毛が抜けてる、あなたの猫ちゃんにそんな症状はありませんか?
ジメジメしてくるこの季節、想像通りカビさん(真菌)が元気になっています。
カビは、細かい話は抜きにしてこれ以上ないほどざっくり説明すると菌ですよね。
小学生の引き出しの奥のパンは定番ですが、ミカンなどでも目にする機会が多いかと思います。
深く考えることもないかもしれませんが、猫カビは結構よくあるので詳しく説明してまいります。

猫カビとは

猫カビはそのまんま猫にカビが感染した状態、カビによって皮膚炎を起こす状態のことを主に呼んでいるのだと認識しています。
特に子猫や、免疫力が低下している猫ちゃんが発症することが多いです。
猫カビの殆どはMicrosporum Canisという種類で、犬のカビ症状もこれが多いです。
そして、人にも感染します。
人から人にも、動物から動物にも感染します。

どのような症状が出る?予防は?

猫ちゃんやわんちゃんでは脱毛や赤身、フケが出ます。
顔回りや手足によく症状がでるのも特徴です。
とても痒いのでガリガリかいてしまい、カサブタが出来てしまうこともよくあります。
人に感染した場合も湿疹等が出るそうです。

ちなみに、猫カビの完全な予防は難しいです。
というのも、カビは目に見えませんがいたる所におり、健康な猫ちゃんでも猫カビを持っていることは少なくありません。
(症状が出ていないだけで)

ですが、他の猫ちゃんとの接触機会を減らす(飼い主様も)ことで感染機会を減らすことは可能ですし、抜け毛やほこり等を徹底的にお掃除することで感染確率を下げることは可能です。
カビが繁殖しにくいような環境を作ることが大切だということですね。
ちなみにカビはお家の中で数年生き残るかもしれないとか。
カビ対策は「常に」必要なのかもしれません。
尚、薬品等を使用される場合は猫ちゃんを原則近づけない、換気をするなど注意してください。
猫カビから守るために体調を崩してしまっては本末転倒なので。

免疫力を守るためにストレスの少ない環境を整えることも大事です。

猫カビの検査・治療

猫カビは症状の出ている部分などを顕微鏡で観察したりすることが多いです。

少し時間はかかりますが、培養したりすることもあります。

治療は塗り薬を使うことが多いです。
それでも治らない場合など薬浴や飲み薬を使う場合もあります。

ただ、猫カビの本領発揮はここからです。

猫カビはしつこく、一度キレイに治ったように見えても薬をやめた途端に再発することもあります。
その為、治療に数カ月かかることもあります。
獣医師さんの指示に従った投薬と、環境の清浄化(掃除、ブランケット等猫ちゃん用品の洗浄など)、定期的な症状のチェックの為の来院など、飼い主様のご協力が非常に重要です。
なんとなく治ったから、でやめてしまうことのないようにご注意ください

また、多頭飼育の場合はできる限り隔離してあげてください。
他の子も感染して、より治療が大変になってしまいます。

猫カビ以外の皮膚病

猫カビは珍しい病気ではありませんが、その他にも下記のような原因で来院される猫ちゃんも多いです。

食べ物アレルギー

下痢などの消化器症状を起こすことも多いですが、皮膚症状も多いです。
アレルギーの場合は症状に対処するのはもちろんとして、原因(アレルゲン)を探すことが重要です。

寄生虫による皮膚炎

ノミで痒そうにしている猫ちゃんイメージありますよね。
ノミは繁殖力が半端ないので、特に寄生虫による皮膚炎ではよくみかけます。

もちろんダニなどもいますし、原因はノミに限りません。

ハウスダスト・花粉等

もちろん、猫ちゃんもこれらでアレルギーを起こすこともあります。
人間だとくしゃみ鼻水がイメージでしょうが、皮膚症状が出ることも多いです。
アレルギーは治りませんし、食物アレルギーや寄生虫と異なり完全に除去するのが難しいので、悩ましいです。

心の問題

猫ちゃんはとても繊細なので、ストレスをため込んで過剰なグルーミングをしたりすることも。
いわゆる舐めハゲがひどくなったような感じです。
皮膚だけにとどまらず、毛球症といって、お腹の中に毛玉が溜まってしまうこともあります。

お安く治療したい方

最近は皮膚対策のサプリメントや、なんだったら外用薬も売ってますね。
でも、ここで問題なのが、いったい何が原因で皮膚炎が起こっているのか、です。
例えばアレルギーで皮膚炎が起こっているのにアレルゲンを含むサプリメントを与えるとどうなるでしょうか。
また、仮に皮膚炎が綺麗になったとして、治療の終了を適切に判断できるでしょうか。
皮膚病は目に見えてわかりやすい病気ですが、治療は結構難しいです。
お家でできるケア、飼い主様のサポートももちろん必要なのですが、やはり専門家目線が絶対的に必要になります。
大切な家族の為ですから、是非動物病院にご相談ください。

最後に。痒みを放置したら

皮膚病は目に見えるので割と早めに来院いただく事も多いのですが、たまに酷い皮膚病の子もいらっしゃいます。
皮膚病で即死することはあんまりないと思います。

でも、どうしようもない痒みが毎日続く状態に耐えないといけないのって相当辛いと思います。
わんちゃん猫ちゃんをそんな痒みから救ってあげられるのは飼い主様だけです。
皮膚のバリア機能が~とかややこしいことではなく、彼ら動物達の幸せを守るために、定期的な皮膚検診、症状があった際のできるだけ早い来院をお願いいたします。