小鳥の「メガバクテリア」って?検査や治療費等【獣医師監修】
鳥の診察が増えてまいりましたので鳥のコラムも書いていきます!
リクエストがあれば仰ってくださいね。
さて、今回はメガバクテリア症についてです。
メガバクテリアって?
「マクロラブダス」というカビを原因として起こる病気です。
なので最近は「マクロラブダス症」といったりします。
昔は正体が不明だったため「大きい(メガ)細菌(バクテリア)」=「メガバクテリア」と呼ばれていたようですね。
感染経路・症状は?
感染経路は親⇒ヒナのほか同じケージの子に糞を介して感染します。
感染しても全く症状が出ない場合もありますが、ストレスや他の病気で免疫力が下がった際に悪さをすることも。
また、家庭で飼育されている殆どの種類の鳥に感染することもポイントです。
具体的な症状としては突然の嘔吐や黒色便、貧血、消化できずに食べたものをそのまま排泄するなど消化器症状が主なもので、慢性化することもありますし、突然死してしまう事もあります。
鳥類は特に強い生き物ではないので、早急な治療が必要です。
病院での検査・治療は?
メガバクテリアは鳥の糞を顕微鏡で見て探します。
感染が明らかになった場合は基本的には抗真菌薬(カビのお薬)の投薬をします。
内服で投薬をすることもありますが注射で投薬することもあります。
その他、場合によっては症状に対応する薬も投与しますが、鳥さんの場合薬をたくさんあげると却ってよろしくないこともあります。
人間でも、たくさん薬のんだら却ってしんどくなることもあると思いますが、同じことです。
問題は治りにくいうえに、糞便から検出されなくなっても完治したとはいえないということです。
糞便から消えても胃の粘膜に残っていたりするため、一旦症状が治まってもそこで投薬を怠ってしまえばまたもとに戻ってしまいます。
特に早期発見できなかった場合は治療には根気が必要です。
また、加えてよくない話ですが薬剤耐性株(薬が効きにくいやつ)も報告されているようです。
治療が終わった後も定期的に検便できればより安心かもしれません。
費用としては検査自体は診察料と併せても数千円で済む病院が殆どでしょう。
当院の場合は初診料(または再診料)に加え糞便検査は2,000円頂いています。(検査については割愛しますが、そのう検査も2,000円です。)
その後の投薬については期間もまちまちなためこのくらいというのは難しいですが、総額で2万円程度かかることが多いようです。
早期発見であれば長引かず比較的安く済むことが多いですし、鳥の診察料を別途設定している病院の場合、重症で入院等する場合はもっと高くなる可能性もあります。
そもそも感染しないようにするには?予防は?
そもそも感染しないようにするのは難しいです。
というのもお迎えした時点で感染している子がほぼじゃないでしょうか。
見ただけでは当然わかりませんし、絶対感染しないぞ!というのは現実的ではありません。
かといって予防も大したことはできません。
が、ストレスをなるべく回避するように努める。
またせめてお家の中、ケージの中は清潔に保つ。(他の子の感染予防にもなります。)
上記のようなことは心がけておいた方がよいかもしれません。
ただ、予防は難しくとも早期発見できれば負担は少なくてすみます。
特にこの病気については体重のモニタリングも非常に有用です。
最近はとまり木型の体重計もあったりするので、せめて数日おきには体重測定・記録をしてください。
消化器症状が現れた場合はもちろんですが、体重の減少も気になる場合は健康診断をしておくべきです。
また、お迎え時の健康診断もしておくべきでしょう。(他の子もいる場合は特に。感染していたことが判明してもすぐ対処できます。)
理想的には発症前に治療ができれば最高です。
一番大事なのは飼い主様の心構え
前述の通りメガバクテリアは怖い病気ですが完全に防ぐことはできません。
また、当たり前のお話ですが鳥の病気はメガバクテリア以外にもたくさんあります。
鳥を診察できる病院も増えてきたものの、犬猫と比較して一般的でもないのでドクターショッピングみたいになってしまうこともしばしば。
費用も鳥さん自体のお値段よりかかる場合も多々あります。
何がいいたいかというと、鳥さんの面倒を見るのは結構大変だということです。
それを踏まえて、責任と愛情をもって終生大切にしてあげられる、その心構えが一番大事だと思います。
動物病院はその心構えに寄り添ってサポートしていきますので、何でも気軽に相談してくださいね。
最後に、わんちゃん猫ちゃん以外を飼育する際のポイント
わんちゃん猫ちゃん(最近はうさぎさんもかな)は比較的どこでも診察できます。
それ以外のいわゆるエキゾチックアニマルや鳥さんは診れないか、診れても治療が行えない場合もまだ多いです。
理想は専門病院ですがそこら中にある訳ではないので、せめて診察対象に「鳥」が入っている動物病院をお迎え前に調べて、お迎え時に健康診断を依頼しておくのがベストです。
いざ病気になってから慌てるのではなく、「かかりつけ」がある心強さはわんちゃん猫ちゃんの比ではないので是非お願いします。
当院は小鳥も通常通り診察しておりますので、是非お気軽にご相談いただけますと幸いです。