FIP(猫伝染性腹膜炎)について、改めて【2】
この記事まとめ
- FIPにはドライタイプとウェットタイプがある
- どの臓器にウィルスが感染するかで症状が異なる
- ウェットの方が生存期間が短い傾向がある
先日のコラムに引き続き、FIPについて詳しくお話していきます。
FIPはまず、2つのタイプに分かれます。
「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」に。
簡単に言うと、「濡れているタイプ」と「乾燥しているタイプ」ですね。
・ウェットタイプは、猫の体内に水が溜まってしまう。
・ドライタイプは、それ以外。
と理解してください。
ウェットタイプの症状は、
・元気や食欲がなくなる。
・発熱する。
・お腹の中に液体が溜まり、お腹が風船のように膨らんでくる(腹水)。
・胸の中(肺や、心臓がある部屋)に液体が溜まり、呼吸しづらくなる(胸水)。
など、他にも細々したものはあるけど、これらが目立つ症状です。
ドライタイプの症状は、
・元気や食欲がなくなる。
・発熱する。
・粘膜や皮膚が黄色くなる黄疸。
・貧血。
・炎症で、眼が開きづらい、痛がるなどの眼の症状。
・運動失調、ふらつきなどの神経症状。
など、いろんな症状がでますが、腹水などの症状はみられません。
同じウイルスの感染なのに、タイプによって、全然違う症状がでます。
不思議ですね。
理由は、ウイルスの好み?
どの臓器にウイルスが感染するかによります。
ウェットタイプは、血管好きで、血管の壁に入り込み、血管に炎症(血管炎)を起こします。
そうすると、全身の血管から液体が体内に漏れ出します。
その結果、体内に液体が溜まります。
心臓の膜の内側(心膜腔)に溜まるものを心嚢水、
胸の膜の内側(胸膜腔)に溜まるものを胸水
腹の膜の内側(腹膜腔)に溜まるものを腹水
といいます。
見たことのない漢字ばっかりで、頭が痛くなりますよね。
ドライタイプは、血管以外が好きみたい。
感染が多いのが眼球、脳、肝臓、脾臓、肺などです。
そして、感染した臓器の特有の症状が現れます。
ウェットタイプとドライタイプとの割合は、
ウェットタイプが60-70%、ドライタイプが30-40%で、ウェットタイプの方が多いです。
ウェットタイプとドライタイプで、発症から亡くなってしまうまで(生存期間といいます。)の違いは、
平均で、ウェットタイプで数日~数週間、ドライタイプで数週間~数か月。
ウェットタイプの方が早く、致死率が高いことが分かりますね。
それでは、どんな猫が猫伝染性腹膜炎になりやすいか?
気になるところですね。
次回はそこを解説していきたいと思います。