FIP(猫伝染性腹膜炎)について、改めて【3】
この記事まとめ
- FIPは純血種の方が発症しやすいと言われている
- 3歳未満の発症が多い
- 診断は非常に難しい
- 改善する場合もあるが、発症してしまうと完治の期待は難しい
先日までFIPがどんなものかについて書いてきました。
今回はなりやすい猫についてと、病気の検査についてです。
それでは、どんな猫が猫伝染性腹膜炎になりやすいか?
気になるところですよね。
国や環境のちがいで一概ではありませんが、
雑種はなりづらいですね。
純血種がなりやすく、特に、
アビシニアン、ラグドール、ロシアンブルー、バーミーズ、ヒマラヤン、マンクスなど。
雑種より純血種の方が発症しやすいため、家系による遺伝が関係しているのではないか、と言われています。
話が変わりますが、
なぜ、このウイルスは、コロナウイルスと言われるようになったのか?
猫伝染性腹膜炎とは関係ないので、興味がない方は、飛ばしてくださいね。
このウイルスは、形が球形で、その表面に突起があります。
それが、まるで太陽のコロナのように見えたことから、そう呼ばれています。
太陽のコロナとは、太陽の外側に見える散乱光のことです。
子供が太陽を描く時の「太陽が〇で、その周りの複数の線」がコロナです。
話を戻します。
猫伝染性腹膜炎は、どの年齢でなりやすいか?
どの年齢でもなりえますが、
特に、3歳未満の発症が多いです。
その中でも、4~16か月齢の若いオス猫の発症が多いと言われています。
理由は、若齢猫は、免疫システムが出来上がっていないので、免疫力(病気に抵抗する力)が未熟。
身体が若いので、ウイルスの増殖が活発(若い人に癌ができると進行が速い、のと同じです)。
などが挙げられます。
この病気は、健康な時では、診断が付けづらいです。
発症して初めて、診断できるようになります。
本当に、獣医さん泣かせな厄介な病気です。
だから、飼い主さんが気づいたときは、すでに発症した後ということになりますね。
「何かあやしいな」と少しでも感じたら、すぐに動物病院に相談しましょう。
動物病院では、血液検査、腹水や胸水などの浸出液検査、抗原検査などを駆使して診断していきます。
しかし、診断が難しく、一つの検査では正確な診断がつけづらいのが実情です。
本当に、厄介です。
ですから、複数の検査をして、総合的に診断します。
すなわち、カクテル検査。これは、私が勝手に名付けました。
でも、悲しいことに、猫伝染性腹膜炎と診断できても、現在、完治できる治療法がありません。
(第一回でお話した治療薬で改善する子もいますし、当院でも改善したケースはありますが、再発する場合もあります。)
だから、一般的には完治を目指すのではなく、症状を和らげ、苦痛を緩和してあげる治療をします。
言い換えれば、余生を穏やかに、送れるように。
正直、この病気になってしまったら、過度な期待はできないのが現状です。
では、なってしまったらどうすればいいのかを次回書いていきます。